【2026W杯】森保ジャパンが狙うべき敵の急所とは?スウェーデン戦の3つの勝ち筋

日本代表

2026 FIFAワールドカップ グループF最終節、日本代表は6月26日にスウェーデンと対戦する。日本は引き分け以上でグループ突破が確定する有利な立場。一方のスウェーデンは、負ければ即敗退、引き分けでも他グループの結果待ちという崖っぷちに立たされており、勝利以外の選択肢がない。引き分けで3位に滑り込んだ場合、ラウンド32で優勝候補フランスと当たる可能性が極めて高くなるため、スウェーデンにとっては「引き分けすら避けたい」というのが本音だ。立場の異なる両者が迎えるこの最終節を、データと戦術の両面から徹底的に掘り下げる。

数字とオッズが語る両者の現在地

FIFAランキングは日本が18位、スウェーデンは38位。ただしスウェーデンは欧州予選で苦戦してランキングを落としており、実力はランキング以上というのが共通認識だ。直近5試合を見ても、スウェーデンはチュニジアに5-1で快勝した一方、オランダには1-5で大敗するなど両極端な結果を残しており、底力と脆さを併せ持つ相手だ。

過去の対戦成績は日本の1勝2分2敗。初対戦は1936年ベルリン五輪で、2点を追う展開から逆転勝利を収め「ベルリンの奇跡」として語り継がれる一戦だった。直近の対戦は2002年の親善試合(1-1)まで遡り、実に約24年ぶりの再戦となる。

大会 結果 メモ
1936年 ベルリン五輪1回戦 日本 3-2 スウェーデン 2点を追う逆転勝利「ベルリンの奇跡」
1995年 カップ戦 引き分け(PK負け) 3年連続対戦の初戦
1996年 カールスバーグ・カップ 1-1(PK負け)
1997年 カップ戦 敗戦 3年連続対戦の最終戦
2002年 キリンチャレンジカップ 1-1 日韓W杯直前の親善試合、直近対戦
項目 日本 スウェーデン
FIFAランキング 18位 38位
現在の勝ち点 4 3
突破条件 引き分け以上で確定 勝利が絶対条件
勝敗オッズ 約1.90倍 約4.30〜4.50倍

勝敗オッズは日本優勢を示しているが、専門家の論調は分かれている。日本の組織力がスウェーデンの守備を崩せるという見方もあれば、日本のハイラインの背後をスウェーデンの強力FW陣が突くカウンターを警戒する英国アナリストの声も上がっている。

主要ブックメーカーのオッズ比較

ブックメーカー 日本勝利 引き分け スウェーデン勝利
FanDuel -120 +260 +340
BetOnline / Lucky Rebel 2.04倍 3.36倍

注目したいのが「オーバー2.5ゴール」だ。スウェーデンは勝利が絶対条件のため必然的に前がかりになり、これまでの2試合で6得点6失点という両チームの攻撃力の高さも踏まえると、オーバー2.5(オッズ約1.97倍)には妥当性がある。また「両チーム得点あり」(オッズ約1.75〜1.76倍)も、両者とも今大会すでに6得点を記録している攻撃力を考えれば有力な選択肢だ。日本の勝利単体(オッズ約1.90〜2.04倍)は、無敗かつ失点2のみという安定感を踏まえても狙い目のマーケットといえる。

日本の誤算:主軸不在と移動のハンデ

日本にとって懸念材料は決して少なくない。南野拓実、三笘薫、遠藤航に加え、久保建英も欠場。中盤でボールを刈り取るフィルター役だった遠藤が抜けるが、佐野海舟がそれ以上の働きを見せており懸念は要らない。ある程度ボールを握れる時間帯を作れると仮定するなら田中碧の先発も濃厚だが、基本的には初戦と同じメンバーで、前田大然をシャドーに置く形で臨むと予想する。

環境面でも分が悪い。開催地ダラスは最高気温36度・最低気温25度という猛暑が予想される。スウェーデンはダラスをベースキャンプとしており移動の負担がないが、日本はナッシュビルから約1,000kmを移動しての一戦となる。スウェーデン側も絶対的エースのクルセフスキと右SBのホルムを欠いているが、コンディション面では地の利がある分、相対的に優位だ。

スウェーデンの矛:プレミア屈指の2トップ

スウェーデンの最大の武器は、世界トップレベルの破壊力を誇る2トップだ。

スウェーデンの2トップ

ヴィクトル・ギェケレシュ(アーセナル):直近の国際試合13試合で14得点という驚異的なペース。パワフルなポストプレーで起点となりつつ自らも仕留める。
アレクサンデル・イサク(リバプール):抜群のスピードとテクニック。今大会すでに1得点3アシストを記録し、広いスペースへの抜け出しでチャンスを演出する。

選手 所属 今大会成績(2戦) 特徴
ヴィクトル・ギェケレシュ アーセナル チュニジア戦1G1A プレミアリーグ得点王のフィジカルとポストプレー
アレクサンデル・イサク リバプール チュニジア戦1G1A 12月の骨折離脱から復帰、本来のスピードとテクニックが武器

絶対的エースのクルセフスキは負傷離脱しているが、その穴を埋めるのが24歳のベンジャミン・ニグレン(セルティック)だ。今季34試合で55回のチャンスクリエイトを記録した創造性の高さを武器に、強力2トップへ良質なパスを供給する役割を担う。

スウェーデンの基本プランは、ディフェンスラインを高く設定しすぎず全体をコンパクトに圧縮する「ローブロック戦略」。日本にスペースを与えず、ボールを奪った瞬間に縦パスを送り込んで日本陣内の背後を突くカウンターサッカーだ。

スウェーデンの弱点:サイドのクロス対応

スウェーデン守備陣には構造的な脆さがある。オランダ戦の1-5大敗を見ると、5失点のうち3失点が左右両サイドから中央へ入れられた低いクロスを起点としていた。センターバックのリンデレフやヒエンはクロスに合わせて飛び込むアタッカーへのスライド対応が遅れる傾向があり、左右どちらのサイドから攻め込まれても同じ形でやられている。

スウェーデン守備の急所

サイドからの低いクロスへの対応の遅れ
オランダ戦の5失点中3失点が左右のクロスを起点に発生

さらに見逃せないのが、左SBガブリエル・グズムンドソンの状況だ。前節のオランダ戦でイエローカードを1枚受けており、ここで2枚目を受けると次戦は出場停止となる。そのため、強度の高い1対1の守備を躊躇する「心理的ブレーキ」がかかっている。

日本の勝ち筋①:右サイドの徹底攻略

このグズムンドソンの状況こそ、日本が狙うべき最大のポイントだ。堂安律と伊東純也が連動する日本の右サイドから執拗に1対1のスピードアタックを仕掛け、ディフェンスブロックに歪みを生じさせる。サイドで局地的な優位を作って突破すれば、スライドの遅いセンターバード陣を外に釣り出したり、中央にスペースを生み出すことができる。

日本の攻撃の強みは、サイドでの連動から相手の守備を揺さぶり、中央へ精緻なクロスボールを供給して得点機会を創出することにある。サイドからの素早い展開にスウェーデンのセンターバックのマークの受け渡しが遅れた一瞬の隙を、中央で待ち構える上田綺世が仕留める——これが理想的な得点パターンだ。

最大のマッチアップ:板倉・冨安 vs 世界的2トップ

試合の勝敗を直接左右する最大の局面が、日本の「盾」と呼べる板倉滉・冨安健洋のコンビと、スウェーデンの「矛」であるギェケレシュ・イサクの対決だ。遠藤航が不在の中、新主将の板倉と冨安がディフェンスラインを統率する責任を負う。

スウェーデン最大の武器は、ボールを奪った瞬間に最前線へ鋭く刺す縦パスだ。ターゲットとなるのは、強靭なフィジカルでポストプレーをこなすギェケレシュと、抜群のスピードで広いスペースへ抜け出すイサクの2人である。

これに対し、日本の両CBには明確な役割分担が求められる。ギェケレシュに縦パスが入る瞬間、板倉がバイタルエリアでタイトに密着して前を向かせない。ギェケレシュがフリックして落としたボールや、空いたスペースへイサクがトップスピードで抜け出そうとする動きには、冨安がカバーリングで即座にスペースを消す。安易に足を出して入れ替わられることを避け、相手をサイドへ追い込んでスピードを削ぐ。この徹底したリスク管理こそが、スウェーデンの「矛」を折る「遅延防御」の完遂だ。

遠藤不在の中盤を支える佐野海舟には中盤フィルターとしての強度維持と、セカンドボールの回収・カバーリングの徹底が求められる。日本は引き分け以上で突破が確定しているため、無理にラインを押し上げて相手のカウンターの餌食になる必要はない。ポゼッションを高めつつリスク管理を徹底する、インテリジェントなゲームコントロールが求められる試合だ。

板倉滉(DF)コメント

「そこ(強力アタッカー陣)が間違いなくスウェーデンの強みですし、そこを抑えられるか、抑えられないかで、試合の勝敗に関わってくると思います」

冨安健洋(DF)コメント(チュニジア戦4-0勝利後)

「自分1人でプレーしているわけじゃない。チームのためにプレーして、4-0につながった」

予想スタメン:両軍フォーメーション図

英国Racing Post紙の予想をもとに、両チームのスタメンをフォーメーション図にまとめた。日本は3-4-2-1、スウェーデンは3-1-4-2という、共にウイングバックを置いた3バックシステムでの激突が予想されている。

日本代表 予想フォーメーション(3-4-2-1)

上田綺世
前田大然
伊東純也
中村敬斗
堂安律
鎌田大地
佐野海舟
伊藤洋輝
板倉滉(C)
冨安健洋
鈴木彩艶

スウェーデン代表 予想フォーメーション(3-1-4-2)

ギェケレシュ
イサク
グズムンドソン
アヤリ
ベリヴァル
エランガ
カールストレーム
リンデレフ
ヒエン
ラゲルビエルケ
ノードフェルト

日本は3バックの両脇に冨安健洋と伊藤洋輝を配置し、板倉滉が中央でラインを統率する形。ウイングバックには中村敬斗と堂安律が入り、前線では前田大然と伊東純也がシャドーとして上田綺世を支える。スウェーデンは1アンカーのカールストレームを軸に、グズムンドソンとエランガが両ウイングから攻撃参加し、ギェケレシュ・イサクの2トップへ送り込む布陣だ。

中盤の安定感をもたらす田中碧ではなく前田大然をシャドーに起用する狙いは、機動力に欠けるスウェーデンの最終ライン(リンデレフ、ヒエン)を背後のスプリントで突くこと、そして勝利が絶対条件の相手が試合終盤に前がかりになった際のスペースをスピードで仕留めることにある。さらに前線からの強烈なプレスでギェケレシュ・イサクへの縦パスの供給源を断つ役割も担う。

日本の勝ち筋②:相手の”焦り”を突くカウンター

スウェーデンが3位通過に終わることを極端に避けたい理由は2つある。1つは、3位の場合は無条件突破ではなく全12グループの3位チーム同士で成績を比較される「他力本願」の状況に陥ること。もう1つは、3位通過のルートでは決勝トーナメント1回戦で優勝候補筆頭のフランスと対戦するリスクが極めて高くなることだ。

つまりスウェーデンには「日本に勝って無条件で突破できる2位以上を確定させたい」という非常に強い動機がある。これは引き分けでも妥協できない事情であり、試合終盤になればなるほどリスクを冒して前がかりになってくることが予想される。

なお、この「3位通過のリスク」は日本にとっても無縁ではない。日本が敗れた場合、オランダがチュニジアに敗れれば日本とオランダが勝ち点4で並ぶが、直接対決の結果がない両者の順位は得失点差などで決まるため、日本が2位を守れず3位に転落する可能性も残る。今大会から導入された新ルールでは直接対決の結果が総得失点差より優先されるため、この一戦は両者にとって事実上の”決勝トーナメント進出を賭けた一発勝負”という側面を持つ。

日本としては、この終盤の”前がかり”な時間帯こそが狙い目だ。無理に攻め急がず、相手が勝利を急いてラインを上げてきたタイミングで生まれる背後のスペースを、上田綺世や前田大然らのスピードで仕留める。引き分けでも突破が決まる日本にとって、「焦らず構え、相手の焦りを利用する」ことこそが最も合理的な勝ち筋となる。

まとめ:日本が勝つための3条件

この試合における日本の優位性は、戦力やコンディションだけで測れるものではない。「負ければ終わり」のスウェーデンに対し、日本には「引き分けでも良い」という心理的な余裕がある。この立場の差こそが、最終節における日本最大の武器だ。

  • 条件①:右サイドでグズムンドソンの心理的な隙を突く
    イエロー1枚を抱える左SBグズムンドソンに対し、堂安律と伊東純也が連動して執拗に1対1を仕掛け、ディフェンスブロックを歪ませる。
  • 条件②:板倉・冨安が世界的2トップを遅延防御で抑え込む
    ギェケレシュへは板倉がタイトに密着し前を向かせず、イサクの抜け出しには冨安がカバーリングでスペースを消す。安易に足を出さず、相手をサイドへ追い込む。
  • 条件③:終盤、相手の焦りから生まれるスペースを突く
    引き分けでも突破が決まる日本は無理に攻め急がず、勝利が絶対条件のスウェーデンが前がかりになる終盤を待ち、背後のスペースを上田綺世や前田大然のスピードで仕留める。

3つの条件はいずれも、戦力差ではなく「立場の差」を利用するものだ。負ければ終わりのスウェーデンに対し、日本には引き分けでも良いという心理的な余裕がある。無理に攻め急がず、相手の焦りを利用できるかどうかが、この最終節の結果を分ける。

グループF最終節の状況

順位 チーム 勝点 突破条件
2 日本 4 引き分け以上で確定
3 スウェーデン 3 勝利が絶対条件

※順位はグループF第2節終了時点のもの。日本は得失点差等の条件次第で1位の可能性もある。

キックオフは6月26日(日本時間)。テレビ地上波・衛星・ネット配信の最新情報は各局の発表を確認のうえ視聴してほしい。

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