三笘薫なしでW杯オランダ戦に勝てる?中村敬斗ら代役候補6人の強みとは

日本代表

2026年5月15日、W杯メンバー26名が発表された瞬間、多くのファンが言葉を失った。三笘薫の名前がない。「困ったら三笘」として日本攻撃陣の核となってきた左ウイングが、ハムストリング負傷により本大会を欠場することが決まった。森保一監督が「本人が一番つらい、痛い思いでいると思います」と言葉を詰まらせた通り、これは日本サッカーにとって痛恨の欠場だ。グループFにはオランダという強豪が控えており、正直ピンチと言わざるを得ない。ただ、同じグループのスウェーデン・チュニジアに勝ち切ることが現実的な目標となるなか、三笘抜きでも得点を取れる形を作れるかどうかが、日本のW杯を左右する。特にその鍵を握るのが中村敬斗だ。

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三笘薫というプレーヤーがいかに異質だったか

欧州5大リーグのデータを見ると、三笘薫というプレーヤーがいかに規格外だったかがわかる。

3.82
欧州上位4%
PA進入回数(90分)
2.38
欧州上位9%
ドリブル成功(90分)
8.04
欧州上位9%
敵陣PAタッチ(90分)

単独でボールを敵陣深くへ運び、相手ディフェンスラインを押し下げる。アジア最終予選のバーレーン戦のように徹底的なマンツーマンで封じられると日本の攻撃が手詰まりになるという脆さはあったが、それでも「どんな状況でも三笘が打開してくれる」という期待感が、チームを何度も救ってきた事実は消えない。その存在が本大会から消える。

代役不在──だからこその「構造の変革」

三笘の「単独でペナルティエリアへボールを運ぶ」圧倒的な個の力を、別の選手1人でそのまま再現することは不可能だ。だからこそ、一人の突破力に依存した戦術から抜け出す「構造の変革」が日本代表に促される。

森保監督はブラジルに歴史的勝利を収めた試合後、こう語っている。「チームコンセプトは誰が出ても勝つ、誰が出ても機能する。チームの総合力で戦ってきた」。この言葉は、三笘・南野拓実・守田英正という主力3人を欠いた状態で0-2から逆転勝利を収めた事実に裏付けられている。

「代役」たちのプロフィールと役割

中村敬斗(スタッド・ランス)

武器:決定力

シュート1本あたりのゴール数は0.18〜0.22と三笘の約2倍。日本代表通算24試合10ゴールという圧倒的な決定力を持つ現代表No.1フィニッシャー。縦突破とカットインを状況に応じて使い分け、「仕上げ役」として前線に生まれたスペースを冷静に仕留める。

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前田大然(セルティック)

武器:ハイプレス

タックル+インターセプト数が90分平均2.5回以上で欧州ウイング上位1%という異常な守備スタッツ。三笘の2倍以上の数値だ。単独突破よりも前線からの強烈なプレスでボールを奪い、チームのショートカウンターを誘発する。

鈴木唯人(ブレンビー)

武器:流動性・チャンス創出

シュート創出アクション(SCA)が90分平均4.0回以上と三笘に匹敵する数値。ドリブル突破よりも中央の密集地で前を向き、ポジションを流動的に入れ替えることで相手のマークを曖昧にする。組織的なバイタルエリア攻略のキーマン。

塩貝健人(NECナイメヘン)

武器:ゴールへの貪欲さ

1試合あたり3本以上のシュートを放つ積極性が武器。中央の最前線で泥臭くディフェンスを背負うことで相手バックラインを物理的に押し下げ、中盤の選手が前を向いて使えるスペースを間接的に作り出す「ピン留め」の役割が期待される。

後藤啓介(アンデルレヒト)

武器:高さ・中央の基準点

191cmの長身を活かし、中央深い位置で縦パス・ロングボールを引き出す「基準点」として機能する。足元でも受けられ、動的に相手守備ブロックをゆがませる力がある。サイドからの突破に依存しない「2トップ化」の起爆剤となり得る。

伊東純也(ゲンク)

武器:流動・クロス精度

主戦場は右サイドだが、シャドーとウイングバックを流動的に入れ替えながらプレーできる戦術眼を持つ。精度の高いクロスとシュート力を兼ね備え、三笘不在時の「右から左への起点移動」というオプションも存在する。

フォーメーションの選択肢

三笘不在の日本代表には、大きく3つの戦術オプションがある。

  • オプションA|流動的3-4-2-1(現状維持・進化型)

    直近のイングランド戦やバーレーン戦で実証済みのシステム。左WBに中村敬斗、右WBに伊東純也・堂安律を配置し、シャドーとWBが左右関係なくポジションを入れ替えることで相手のマークを撹乱する。三笘の「個の突破」から「集団の流動性」へ戦術を昇華させる形。

  • オプションB|2トップへのシステム変更

    小川航基+後藤啓介や塩貝健人を中央に並べ、サイドからの強行突破よりも「中央での物理的優位」を活かす戦術へシフト。2トップが相手DFをピン留めし、セカンドボールを回収した鎌田大地らがバイタルエリアを攻略するイメージ。W杯メンバーにFWが4人選出されたことも、この布石とも解釈できる。

  • オプションC|強豪相手の割り切り5バック

    強豪相手には、攻撃的3バックのまま真っ向勝負よりも、5バック気味のブロックを形成してカウンターを狙う現実的な選択も有効だ。南野拓実も「相手が強かったら、割り切ってブロックを作ったほうがいい」と語っており、逃げの選択ではなく戦略的な割り切りとして機能する。

懸念点|玉突きダメージとボランチの薄さ

三笘の穴を埋めるために生じる「玉突き事故」的な影響も無視できない。シャドーの人選難を解消するため鎌田大地を前線に上げると、今度はボランチの層が薄くなる。遠藤航がコンディション不安を抱えるなか、確実な選択肢が佐野海舟と田中碧の2人になってしまうというジレンマだ。三笘の欠場は「左サイドの穴」にとどまらず、中盤全体の構成に連鎖的な影響を及ぼしている。

逆境が生んだW杯のニューヒーローたち

W杯とは逆境から「想定外のヒーロー」が生まれる舞台だ。2010年大会の本田圭佑、2018年大会の乾貴士、2022年大会の堂安律。いずれも大会前の期待値を超える活躍でチームを勝利へ導いた。三笘の欠場は、他の選手にとって「自分が主役になる余白」が生まれたことでもある。

最も象徴的なのが、三笘・南野・守田という3人の主力不在でブラジルに0-2から逆転勝利した試合だ。中村敬斗の同点ゴール、上田綺世の決勝ヘッド。三笘なしでも日本は世界を倒せることを証明した。今大会、同じことがグループリーグの舞台で再現されたとき、日本代表は本当の意味で「誰が出ても機能するチーム」として世界に認められる。

まとめ

三笘薫の欠場は間違いなく痛い。オランダ戦を考えると、その穴は小さくない。ただ、スウェーデンとチュニジアに確実に勝ち切るためには、得点を取れる形を作ることが最優先だ。その意味で鍵を握るのは中村敬斗だ。三笘とは別の形でゴールを奪える。右サイドの久保建英・堂安律がボールを引き出してゲームを作り、中村がフィニッシュまで持ち込む形は、オランダ相手でも十分に機能する絵が描ける。三笘不在の穴は「埋める」のではなく、この3人の連携で「別の形で超える」ことすら不可能ではない。

森保監督はこう言った。「誰が一番痛いか。本人が一番つらい、痛い思いでいると思います」。その言葉を胸に、三笘の分まで戦う26人の戦いが始まる。

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